代表的な江戸伝統園芸植物
◆生活に根付く椿 ― 油と材の利用
ツバキは日本(本州以南)に自生する常緑樹で、暖地にはヤブツバキ、積雪地にはユキツバキが見られます。古くから人々の生活に深く関わり、種子は縄文時代から椿油として利用され、材は器具や燃料に使われてきました。
◆古代の椿 ― 皇室への献上と国産資源
花の観賞は記紀の時代に遡り、『日本書紀』(685年)には白いツバキを天武天皇に献上した記録があります。『続日本紀』(797年)には、日本特産のツバキ油が重要な国産資源として外国の使者に贈られた記録も残っています。
◆室町の椿 ― 武士文化と園芸化
室町時代以降、武士に価値を見出され、庭園・華道・茶道で使われるようになり園芸化が進みました。
◆江戸の椿 ― 将軍の象徴と「寛永のツバキ」ブーム
江戸時代に入ると、ツバキは東都江戸の代表樹、徳川家のシンボルツリーとされ、特に二代将軍秀忠が好んだことで、親藩・諸大名へと流行が波及。「寛永のツバキ」(1624年~)と呼ばれる一大ブームを巻き起こしました。この頃、品種記録書が次々と著され、園芸熱が最高潮に達します。
◆世界に広がる椿 ― 「冬のバラ」
幕末にはシーボルトらによって欧州に紹介され、「冬のバラ」として大ブームに。『椿姫』などの作品も生まれ、現在では世界で6,000以上の品種が作られるに至っています。
ツバキ
ツバキは品種ごとに花の大きさ、形(型)、色、模様、雄しべの形や色、葉の形など様々な違いがあり、観賞の楽しみが広がります。ここでは、花型と花模様の分類の一例をご紹介します。
主な花型
主な花模様
神代植物公園で鑑賞できるツバキ
日本にはヤブツバキやユキツバキが自生し、数多くの園芸品種がつくられています。
神代植物公園の「つばき・さざんか園」では約270種類のツバキを見ることができ、そのうち100品種以上は江戸時代の文献に名前が見られるものです。
伝統のツバキをぜひ探してみてください。
(花の時期は年により変わることがあります。詳細は神代植物公園にお問い合わせください。)


















神代植物公園ゆかりのツバキ
神代都鳥(じんだいみやこどり)
4月に咲く花は、名花「都鳥」に花型や大きさが似ていますが、花色が桃色で異なります。園内で自然発生した実生個体と考えられ、他では見ることができません。
神代桃錦(じんだいももにしき)
神代植物公園に植えられていたツバキで、花に比して宝珠(中心部分で重なり合った花弁)が大きく、桃太郎の桃を思わせます。令和4年に新品種登録を受けました。
