江戸伝統園芸植物の歴史と種類

江戸伝統園芸植物の 歴史

古典植物画

出典:『梅園画譜』(国立国会図書館蔵)

わが国では、奈良・平安時代(710~1185年頃)に、花の美しい野生植物や中国から渡来した植物を「贈る」「庭園に植える」などして鑑賞する文化が始まりました。その中で、優れたものや珍しいものを求めて品種の選抜や交雑が進められ、園芸文化が育まれてきました。

特に、260年余りの天下泰平が続いた江戸時代(1603~1867年)には園芸文化が大きく発展し、様々な園芸植物のブームが起こりました。

年表

江戸伝統園芸植物の歴史

江戸伝統園芸植物の 種類

「江戸伝統園芸植物」とは、江戸時代に独自の園芸文化として興隆し、園芸品種として栽培され、明治時代以降もその美的基準で栽培・育成されている植物の総称です。
江戸時代には、寛永のツバキ、元禄のツツジ、正徳のキク、享保のカエデ、寛政のタチバナなど、四季を彩る植物に次々とブームが起こりました。記録によれば、当時ブームを起こした園芸植物は40種・3000品種以上にのぼるといわれています。

□で囲われた植物は、都立の公園・庭園で品種を観賞できます。アンダーラインの植物は、神代植物公園の植物会館で行われる展示会で見ることができます。観賞できる時期は、各施設にお問い合わせください。

木本: 花梅、木瓜(ぼけ)、、花桃、椿、山茶花(さざんか)、躑躅(つつじ)皐月(さつき)牡丹(ぼたん)、百万両(からたちばな)、紫金牛(やぶこうじ)、万両、南天、花柘榴(はなざくろ)、松、杉
草本: 朝顔、万年青(おもと)、花菖蒲、杜若(かきつばた)、桜草、芍薬(しゃくやく)、伊勢撫子(いせなでしこ)、福寿草
細辛(さいしん)、葉蘭(はらん)、石菖(せきしょう)、石蕗(つわぶき)、雪割草、君子蘭(くんしらん)、紋天竺葵(もんてんじくあおい)
ラン類: 富貴蘭(ふうきらん)、長生蘭(ちょうせいらん)、春蘭(しゅんらん)
寒蘭(かんらん)、錦蘭(にしきらん)
ヤシ類: 観音竹(かんのんちく)
シダ類: 巻柏(いわひば)松葉蘭(まつばらん)、変化葉瓦韋(へんかばのきしのぶ)
水生植物: 花蓮(はなばす)
その他: 斑入り植物

(参考:日本における伝統園芸植物の保存と継承の現状と課題 鈴木弘孝 絵でみる伝統園芸植物と文化 柏岡精三・荻巣樹徳監修アボック社1997年)

江戸伝統園芸ブームの 背景

園芸ブームが大きく発展した背景には、260年余りの天下泰平が続き、人々の生活に余裕が生まれたことがあります。

徳川家康から三代将軍までの植物好きが、江戸に屋敷を構える諸大名や武士に広がり、やがて庶民にまで波及。鉢植えを楽しむ文化が定着し、江戸は来日したプラントハンターを驚かせるほどの一大園芸都市となりました。

また、当時欧米でも植物への関心が高まっており、日本の園芸文化は世界的にも注目されました。

ここでは、江戸伝統園芸植物のブームを支えた6つの要因をご紹介します。

江戸伝統園芸植物の歴史

都立公園・庭園で観賞できる江戸伝統園芸植物