神代植物公園には65品種、約600本のサクラがあり、さくら園と築山周辺に多く植えられています。
2月にはカンヒザクラ、続いてオオカンザクラ、そしてソメイヨシノが続き、やや遅れてヤエベニシダレが咲き、5月中旬にはサトザクラ類が満開になります。
ツツジ園には、クルメツツジ156品種、サツキツツジ124品種、リュウキュウツツジ10品種など、約12,000株が植えられ、江戸時代から伝わる歴史的な品種を観賞することができます。
4月初旬から咲き始め、見ごろは4月中旬~5月中旬、サツキは、5月下旬~6月中旬となります。
ぼたん・しゃくやく園には、ボタン100品種約480株、シャクヤク70品種約550株が栽培されています。4月に咲くボタンは小形の樹木で、ゆったりとした大花が見事です。シャクヤクは多年草で、5月中旬に咲き艶麗(えんれい)な美しさがあります。
無辺の際
(むへんのさい)淀の川瀬
(よどのかわせ)鎌田藤
(かまたふじ)越の白山
(こしのはくさん)神遊
(かみあそび)雪燈籠
(ゆきどうろう)新神楽
(しんかぐら)明石潟
(あかしがた)
モモは中国原産のバラ科モモ属の植物です。遣隋使、遣唐使によって日本に導入され、実桃は食用、薬用として用い、花桃は観賞用とされました。平安時代から始まった桃の節句とともに栽培も盛んになり、江戸時代から品種改良が行われ、35ほどの園芸品種が生まれました。また、元禄の頃に切花としての需要が増し、八重咲きなどの品種に人気が集まりました。
当園では、ハナモモ10品種30本が植えられ、3月~4月まで楽しめます。
マメ科フジ属の植物は東アジアと北アメリカの温帯域に約9種が知られており、いずれも落葉性のつる性木本です。
日本にはフジ(ノダフジ)とヤマフジの2種が自生しています。園芸植物として利用されているのはフジ、ヤマフジ、中国原産のシナフジが主で、ほかに北アメリカ原産のアメリカフジがまれに利用されることがあります。
当園では、ヤマフジ・ノダフジの園芸品種ムラサキナツフジなど13品種49本が植えられ、4月下旬~5月上旬まで楽しめます。
シャクナゲは分類上はツツジ科ツツジ属に含まれ、ほぼ日本全土の主に高山・亜高山に自生する低木です。
常緑で葉が厚く、枝の先端に花芽が1個現れ、その下に数個の葉芽が現れるものを「無鱗片(むりんぺん)シャクナゲ」と呼び、常緑または落葉で葉に星状鱗をもったものを「有鱗片(ゆうりんぺん)シャクナゲ」と呼んでいますが、日本に自生するシャクナゲとして分類されているものは「無鱗片シャクナゲ」に限られています。
当園では、西洋シャクナゲを中心に32品種が植えられ、4月下旬~6月上旬まで楽しめます。
サクラソウは、サクラソウ科サクラソウ属の植物です。高原の湿生地に生える多年草で、朝鮮半島からシベリア南部にも自生しています。
江戸時代の荒川原野には、高原から流れてきて繁殖した群生地ができ、春の野遊びで賑わいました。鷹狩りに出かけた将軍の目にも留まり、直参の武家たちが栽培をはじめたといわれています。
当園では、毎年4月に特設展示場にて展示をしています。
カエデの園芸品種は、江戸前期には100品種に及び、明治15年(1882)の『槭品便覧(せきひんびんらん)』には、202品種が記載されるまでになり、現在では500余品種が知られています。
日本のイロハモミジは、ツンベルクにより1775年に学名がつけられ、『フロラ・ジャポニカ』(カール・ツンベルク著1784年)によってヨーロッパに紹介されました。西欧人も日本のカエデの美しさに感嘆し、幕末から明治にかけてカエデの苗多数が海を渡り、今も大切に育てられています。
当園のかえで園には、45品種130本が植えられ、新芽の春も秋の紅葉も楽しめます。