2024年2月

「第2回 東京パークガーデンアワード神代植物公園 」ガーデナー5名の第1回作庭をレポート

植物選びはもちろん、土づくりにも力が注がれた5名のガーデナーによる2023年12月上旬に行われた第1回作庭の様子をご紹介します。

彩り豊かな庭を作るためにガーデナーが踏まえておく条件とは

コンテストガーデン区画(花壇)は、事務局にて既存地盤の上に盛土(厚さ40cm)を行い、土留め用の木材で囲った状態で引き渡しされました。基礎土壌は(上層20㎝が多孔質人工軽量土壌/下層10㎝が黒土)が用いられていますが、ガーデナーは自身が表現したい植栽が健全に育つために、ガーデン制作時に土壌改良・施肥などをすることは可能です。

以前はツツジや笹が列植する緑一色だった神代植物公園のプロムナードが、花でどんな彩りがプラスされるのか期待が高まります。 【ガーデン制作にあたり、デザイナーが踏まえておくこと】
◼️ガーデンのテーマは「武蔵野の“くさはら”」とし、多年生植物をメインとしたガーデンを制作すること。
◼️国内市場で流通している植物のみ使用可能(採取した植物は使用できません)。
◼️主たる植物は多年生植物を使用。容易に制御が可能な、草本類に近い木本類は使用可能(全ての植物は高さ2m以内に限る)。
◼️構造物やガーデンオーナメント等の設置は不可。植物のみで構成すること。ガーデナーの経験値が頼りになる5者5様の土壌づくりにもぜひ注目を!

エリアごとの様子

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JOURNAL GARDEN A

作品タイトル

Grasses and Leaves, sometimes Flowers
~草と葉のガーデン〜

使用資材

土壌改良材:完熟堆肥、バーク堆肥
排水確保:燻炭
マルチング:杉皮バーク堆肥
元肥:有機肥料

土壌を整える

土壌中の有機物を増やし微生物を活性化するために、バーク堆肥と完熟堆肥の2種類を混ぜながら耕す。日向・日陰それぞれの花壇に水抜き穴を15カ所開け、燻炭を入れる。デザインに基づいて、溝や起伏を作る。

植え付け

苗を配置確認してから植えつけたあと、カマッシアやダッチアイリス、シラー、クロッカス、スイセンなどの球根を植え、グラス類以外の宿根草を植える場所に、有機元肥を軽く混ぜ込む。

マルチング&仕上げ

杉皮バーク堆肥で全体にマルチングをし、それぞれの植物名を書いたネームプレートを挿して完了。

【第1回作庭を終えて】

始めは無事に終わるのか心配でしたが、心強いチームのおかげで形になりました。日陰の庭は特に配置に悩みました。人工土壌の下に黒土という土壌に、水抜き穴を設けて対応しましたが、思いのほか水はけが良さそうで、一番日当たりのよいAエリアで植物たちが元気に育ってくれることを祈るばかりです。
JOURNAL GARDEN B

作品タイトル

花鳥風月 命巡る草はら

使用資材

土壌改良材:腐葉土、もみ殻燻炭、バーミキュライト、ピートモス
マルチング材:腐葉土、一部に剪定生チップ
溝に入れ込むもの:鉢底石
元肥:発酵腐葉土ぼかし、一部に有機肥料

土壌を整える

デザインに基づいてラインを引き、位置確認をする。保水性・通気性を高めるための資材(腐葉土:微生物の餌でありミネラルの元となる、もみ殻燻炭:アルカリ性ミネラルで微生物の住処になる、ピートモス:酸性ミネラルを補う、バーミキュライト:保肥力を高める)を投入する。水を注いで排水状態を確認後、1㎡単位水糸を張り、デザインに基づいて溝や起伏をつける。土壌全体に発酵腐葉土ぼかしを混ぜる。

植え付け

苗を置いて全体のバランスを確認してから植え付け。水はけのために、溝の端部を深く掘り、鉢底石を敷きこんだ。植えた苗の間に、スイセン、原種チューリップ、ダッチアイリス、カマッシアなどの球根を植える。

マルチング&仕上げ

花壇全体の表面を腐葉土で覆う。

【第1回作庭を終えて】

私が住む東海地区とは、土質が異なりますので、当日まで悩んでいたのが土づくりでしたが、結局は、土壌改良材も普段から使い慣れたものを使用しています。当コンテストでは、黒土に加え、リサイクル人工土壌が基盤として客土されています。庭づくりの土壌の確保も簡単ではない時代の中で、宿根草に適した新しい土づくりの手法も生み出していく必要を感じています。植物も自分の馴染みのある品種ばかり。ちゃんと咲いてくれるのか。そんなドキドキ感が宿根草ガーデンの醍醐味とも言えますが、とにかく心を込めて植えました。
JOURNAL GARDEN C

作品タイトル

草原は、やがて森へ還る。

使用資材

土壌改良材:真砂土、バーク堆肥、竹炭、燻炭、もみがら、パーライト
マルチング材:バーク堆肥、落ち葉、杉皮樹皮バーク
溝に入れ込むもの:剪定枝葉竹、落ち葉、竹、稲藁
元肥:牛ふん、汚泥発酵肥料、バーク
その他:プランツタグ、草花固定誘引ワイヤー

土壌を整える

デザイン図に基づいて線を引いてから、起伏をつける。パサパサしている土壌の質を変えるため、関西で使われることが多くてやや重みのある真砂土、排水効果を高めるパーライト、団粒構造を作りながら維持するバーク堆肥、保水性や通気性を高めるもみ殻や燻炭を混ぜ込む。溝に、空壁があって微生物が住み着きやすい竹炭を敷いてから樹木の枝を入れ込む。植え付ける場所に、肥料分として汚泥発酵肥料、牛糞、バーク堆肥を混ぜる。

植え付け

配置図を確認しながら苗を配置し、1ポットずつ順に植えつける。原種チューリップやクロッカス、スイセンなどの小球根や大きめのアリウムの球根を、苗の合間に植える。

マルチング&仕上げ

バークを敷きならしたのち、落ち葉、杉皮樹皮バークでカバーする。

【第1回作庭を終えて】

大まかな植栽設計に基づいて、現場で詳細位置を決めていったのですが、周囲の樹木による季節ごとの日照変化を想定するのが難しく、花苗たちがこの環境条件に順応してどれくらい成長してくれるのか、未知数の部分が多いなと感じました。実験的要素も含めたチャレンジ&トライの一年。メンテをしながら少しずつ答えが見えてくることも含めて、このガーデンを楽しみたいと思います‼︎
JOURNAL GARDEN D

作品タイトル

feeling garden
~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~

使用資材

土壌改良材:腐葉土
マルチング材:腐葉土
元肥:食品リサイクル有機質堆肥、鶏糞有機発酵堆肥
その他:樹名板(間伐材を加工した花名板を設置予定)

土壌を整える

既存の土が肥性に優れた黒土と透水、通気性に優れた改良土だったため、腐葉土を混ぜ込んで耕運機で耕うんして微生物の働きで団粒構造のあるフカフカな土にする。黒土はリン酸が欠乏しやすそうなので、鶏糞を発酵させた有機発酵堆肥を耕運機でまんべんなく混ぜ込む。水糸を張ってグリッドを作り、デザインに基づいて溝や盛り上がりを作る。グラス系の植物を植えこむ場所を盛り上げ通気性、排水性をよくする。花を植える部分には食品リサイクル有機質堆肥を混ぜ込む。

植え付け

グリッドを生かして苗を配置し、植えていく。アリウム、チューリップ、オーニソガラムなどの球根を植え込む。

マルチング&仕上げ

武蔵野の黒土の色をイメージして、溝も含めて全体的に腐葉土で覆う。

【第1回作庭を終えて】

神代植物公園が開催地であることから、「目に留まる」「植物の魅力を伝える」「武蔵野を伝える」ことを意識して計画しました。かつて武蔵野の新しい価値を世に伝えた国木田独歩さんとまでは行きませんが、武蔵野の風景の魅力をこのガーデンを通して発信していけたらいいなと思います。
JOURNAL GARDEN E

作品タイトル

武蔵野の”これから”の原風景

使用資材

土壌改良材:完熟落ち葉堆肥、鹿沼土
マルチング材:バーク堆肥、腐葉土

土壌を整える

既存の人工土壌と黒土の層が混ざり合うように、耕運機で念入りに耕してから均す。人工土壌がややアルカリ性なので、在来の野草が良く育つ弱酸性に傾けるために鹿沼土を一面に投入し、粒がつぶれないように軽く耕うん。完熟落ち葉堆肥を最後に投入し、軽く攪拌、築山を造成していく。

植え付け

水糸を張ってグリットを作り、デザインに基づいて苗を植える。植物1種あたり0.5〜1.5㎡ほどをまとめて植えるブロックプランティングを採用。レイアウトを決めるマーキングにはスプレーなどを使わず、完熟落ち葉堆肥を線上に撒いて行った。

マルチング&仕上げ

目の細かなバーク堆肥を2cm、葉の形がやや残った腐葉土を2cm敷いた。土と植物の本来の姿を見届けるべく施肥は予定していない。

【第1回作庭を終えて】

かつての武蔵野の暮らしのそばにあった日本在来の野草を中心に構成したガーデンです。施工にあたっては、心強いメンバーと議論しながら作り上げました。 現在の見応えは少ないですが、芽吹き、植物が隆盛していく過程をぜひともお楽しみください。

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