2024年1月

「第2回 東京パークガーデンアワード神代植物公園」入賞者のガーデン設計を紹介

「第2回 東京パークガーデンアワード」は、調布市深大寺にある都立神代植物公園が舞台です。今回も多数の応募者から選出された5人の気鋭のガーデンデザイナーたちは、どんな庭を作るのか。応募時に提出された庭のコンセプトについてご紹介します

コンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」

今回のコンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」。ここ調布市を含む武蔵野エリアはかつてススキやハギの原野が広がり、野の向こうからの月の出入りが見られる月見の名所として知られていました。こういった土地の歴史的背景を現代の解釈で5名の入賞者がそれぞれ約70㎡のスペースにガーデンを制作します。

5人が作庭する花壇は、プロムナード(公道)を挟んで向かい合う日向と日陰となる2つのエリアに設けられました。日陰となる花壇は、南側に植わる常緑高木のシラカシの列植に日が遮られるため、夏場以外はほぼ日が当たりません。一方日向のエリアは、冬でもほぼ1日中、日が当たる場所です。

今回の大きな見どころは、日向と日陰という異なる環境で同時に花壇が作られる点にもあります。近年の酷暑によって植物が暑さや乾燥に耐えるか、茂りすぎて株が倒れないか、蒸れて病害虫が発生しないかなどのダメージを回避する植物選びに加え、手入れのテクニックも必要となっているこのコンテスト。5名のガーデナーがどのような工夫で「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」のお題を叶えるのかも見逃せないポイントです。

2023年12月に土壌改良や植え付けなどの作庭が行われました。今後、2024年2月の作庭を経て、2024年4月から全3回に及ぶ審査が行われる予定です。

2023年12月に行われた作庭で集合した5名のガーデナー。
コンテストのテーマとルールをふまえて制作する北側区画(日向)と南側区画(日陰)それぞれのガーデンのコンセプトをご紹介します。

エリアごとの様子

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JOURNAL GARDEN A

作品タイトル

Grasses and Leaves, sometimes Flowers
~草と葉のガーデン〜

【日向】

ガーデン中央に帯状の管理通路を設置して植栽シーンの切り替えをし、植物の高低差をうまく生かすことで、野原の広がりを表現しています。植栽は秋の七草など日本人になじみのある宿根草を多く取り入れながら丈夫なグラス類を加え、親しみのある風景を展開。

【日陰】

日向のガーデンと同じグランドデザインで、植栽は日陰に強いものをセレクト。低木のノリウツギ2種とアジサイ’アナベル’を手前と奥の3カ所に植栽することで花壇に奥行きやボリューム感を与えています。春は小さなシラーと山野草からスタートし、夏にはヤマユリやリーガルリリーが開花してあでやかな趣が楽しめます。
JOURNAL GARDEN B

作品タイトル

花鳥風月 命巡る草はら

【日向】

3本の帯状の溝を緩やかに蛇行しながら左右に流し、中央の最も広いゾーンに多数のオミナエシを植栽。この和の植物をガーデンの主役・軸として、季節ごとの草花による彩りがプランされています。また、種類を絞って選ばれた植物で各季節の見せ場が設けられているのも見どころ。

【日陰】

手前から右後方に向けてうねるようにカーブを描く管理通路を設け、それを挟むように植栽。たくさんの種類を植えず、ハナニラやアガパンサス、ヤブラン、ヒヨドリバナなどこれぞという植物に絞って群生させているので、旬となる時季には迫力のある風景が楽しめそう。
JOURNAL GARDEN C

作品タイトル

草原は、やがて森へ還る。

【日向】

対角線上に配した2つの築山ゾーンと、その間を流れるように設けられた谷筋のような溝がメリハリのある起伏をつくり、多種多様な植物とともにドラマティックな野趣を演出しています。また、谷筋にはノカンゾウやアヤメ、ミソハギを植え、より自然な川筋を表現しています

【日陰】

日向・日陰ともに森へと遷移している途中の草はらを表していますが、日陰のほうがより森に近づいているような雰囲気を演出しています。また、たくさんの種類を植えて多様性を出していますが、ガーデン内一面にいろいろな種類を植えるのではなく、谷筋はキチジョウソウで統一するなど、環境に合わせて量にメリハリをつけ、より自然に見える風景を描いています。
JOURNAL GARDEN D

作品タイトル

feeling garden
~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~

【日向】

斜めに伸びる群植で植えられたさまざまなグラスの間に花の美しい宿根草を植え、グラスを背景にした季節ごとの風景が楽しめるデザインです。若い世代の目に留まるよう、自然でありながらもポップな色彩も花色で盛り込まれています。

【日陰】

後方に低木・ノリウツギを多数植え、植栽の背景とさせながらボリュームを加え、見応えを出しています。またアカンサスなどのユニークな花を用いることで、見る人の目を引くなど、ガーデンへの興味をそそる工夫が施されています。
JOURNAL GARDEN E

作品タイトル

武蔵野の”これから”の原風景

【日向】

設定した築山~低地により生まれる、わずかな環境条件の違いを生かして植物を選定。右後方に明るい日陰、やや湿り気のあるゾーンを作り、そのほかの広範囲は乾燥気味になることを意識して植栽しています。植物は武蔵野の在来種を中心に、9割が日本生まれの野草を用いています。

【日陰】

前方・中央・後方と大きく3つに分けてやや湿り気・乾燥、湿り気のあるゾーンに分けて植栽。複数のシダやヤグルマソウ、オオバギボウシなどのリーフ類に楚々とした花を合わせています。こちらにはグラス類の使用を抑え、日向の植栽と大きく差別化を図っています。

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