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多摩丘陵で出会える植物たち

多摩丘陵のいたるところで、たくさんの植物を見ることができます。
足もとや頭の上をよく見たら、素敵な発見があるかもしれません。

春の樹木

白い花

イヌザクラ

サクラの仲間で、小さな花が集まったブラシのような咲き方をします。ウワミズザクラに似ていますが花がまばらで、葉は細く先端寄りの幅が広い傾向があります。樹皮は明るい灰褐色で横じまがあります。花は4月下旬~5月上旬頃です。

ウワミズザクラ

コップを洗うブラシのような白い花が咲くサクラの仲間の落葉高木で、樹皮が黒っぽく不明瞭な横じまがあります。4月から5月初めまで咲いています。

エゴノキ

エゴノキ科の雑木林の縁(ふち)に自生する落葉高木で、雑木林の林縁など、日当たりの良い場所に生えています。5月後半頃に白い花が下向きに咲き、花にはマルハナバチ類などがよく飛来します。名前の由来は、果実を口に入れると喉や舌を刺激してえぐみを感じることに由来しています。

オオデマリ

スイカズラ科の落葉低木で、たくさんの白い装飾花が集まって球形になった花が咲き出しています。このように真っ白なボール状の花を咲かせるので、英名ではジャパニーズ・スノーボールと呼ばれています。

ガマズミ

雑木林に自生する他、植栽もされているレンプクソウ科の落葉低木で、白い花が5月中旬頃に咲き、秋に赤い実がなります。花は甘い匂いを出し、ハナムグリ類などの昆虫がよく飛来します。

カマツカ

バラ科の低木で、5月頃にリンゴに似た白い花を咲かせます。名前は、材が非常に堅く、鎌の柄に使われたことに由来します。

カラタネオガタマ

モクレン科の常緑小高木で、日本には江戸時代に渡来して、主として関東地方より西の温暖な地方の神社の境内や庭木などとして植えられています。ベージュ色の花からあたり一帯に甘い香りを強く漂わせます。

コブシ

モクレン科の落葉高木で、3月中頃から4月初めにかけて咲く白い大きな花はよく目立ちます。明るい雑木林に自生する他、植栽もされています。コブシという名前は、にぎりこぶし状のデコボコのある集合果の形からつけられました。

サワフタギ

雑木林に自生するハイノキ科の落葉低木で、白い花が4月末から5月前半に咲きます。よく枝分かれし、沢を塞ぐように繁ることからこの名が付きました。

ズミ

バラ科の落葉小高木で、リンゴに近縁な野生種で、荒れ地や湿地などに群生しています。晩春から初夏にかけて白または白地に部分的にピンクが入った花を咲かせます。秋になると黄色または紅色で小さなリンゴのような球形の実をつけます。

テイカカズラ

雑木林に自生するキョウチクトウ科のつる性の常緑低木で、甘い香りの白い花が6月にかけて咲きます。花弁が片側にねじれたような独特の形をしています。漢字の「人」の字のように裂けたさやからは、綿毛のたねが顔を出します。

トサミズキ

マンサク科の落葉小高木で、高知(土佐)の蛇紋岩地帯に自生種が多く見られるので、トサミズキという名がつきました。葉が出るよりも先の3月下旬~4月に、5~7個の丸みのある小花が連なった花穂を下垂させます。

ノイバラ

バラ科の落葉つる性低木で、日本の野生のバラの代表的な種です。野原や道端などに生えており、棘が多くて、雑草として刈り取られることが多いのですが、すぐに根元から芽を出して生長します。

ハクモクレン

モクレン科の落葉高木で、中国原産の樹木です。日本には江戸時代に渡来して、庭木として広まりました。春に若葉が出る前に、枝先に白い卵型の花をたくさん咲かせます。花には芳香があり、上向きに半開状態(開ききらない状態)で咲かせます。

ハリエンジュ

別名ニセアカシアとも呼ばれている北米原産のマメ科の落葉高木で、5月上~中旬頃に白い花が房状に咲きます。日本ではハチミツの多くがこの花の蜜から作られています。

ホオノキ

雑木林に自生するモクレン科の落葉高木で、大きな葉と上向きの大きな花が特徴です。花はよい香りがするので、咲くと周囲に甘い香りが漂います。4月末から5月中旬頃まで見られます。

マユミ

ニシキギ科の落葉小高木で、白い花が5月中旬頃に咲きます。雌雄異株(しゆういしゅ)の植物で、雌株には秋に赤い実がなります。

マルバアオダモ

雑木林に自生するモクセイ科の落葉高木で、葉は軸の両側に数対と先端につきます。花期は4月後半です。

マルバウツギ

アジサイ科の落葉低木で、白い花の中央の部分がオレンジ色なのが特徴です。日当たりの良い斜面によく生育します。

ミズキ

ミズキ科の落葉高木で、園内の雑木林に多い落葉高木で、白い花が4月末から5月中旬に咲きます。小さな花が上向きに集合して咲き、花には様々な昆虫が集まってきます。和名は、早春に芽が吹く時、地中から大量の水を吸い上げることからつけられました。

モミジイチゴ

バラ科の落葉低木で、日当たりのよい林縁に生え、4月、白い花を下向きに咲かせます。葉がもみじに似ているためにこの名がありますが、黄色い実をつけるので「黄苺」の別名があります。

ヤブデマリ

スイカズラ科の落葉低木で、沢の近くの水辺や湿り気のある林縁などに多く自生しています。小さな両性花群とそれを取り巻く大きな白い装飾花からなるガクアジサイのような花をたくさん咲かせます。

ヤマボウシ

ミズキ科の落葉高木で、花のように見える白いものは、苞葉(ほうよう)と呼ばれる花芽を包む葉です。花は中心部にあり、5月中旬から6月にかけて小さい淡黄色の花がたくさん集合して咲きます。日本在来の植物です。

ユキヤナギ

バラ科の落葉低木で、3月から5月にかけて白い小さな花がたくさん咲き、文字通り柔らかな枝に雪が積もっているように見えます。

赤・ピンク色の花

カンヒザクラ

バラ科の落葉高木で、亜熱帯性のサクラですが、比較的耐寒性があるため、関東地方でも育ちます。2月下旬から3月上旬にピンク色の花を咲かせます。

クサボケ

名前に「クサ」とつきますが、バラ科の落葉小低木です。明るい雑木林の下や土手に生え、朱色の花が3月末から4月頃に咲きます。

シデコブシ

モクレン科の落葉小高木で、3月から4月にかけてピンク色の美しい花を咲かせる、愛知県、岐阜県、三重県の一部に分布する日本固有の植物です。

ジンチョウゲ

ジンチョウゲ科の常緑低木で、3月にピンク色の花を咲かせます。「沈丁花」という名は、香木の沈香のような良い匂いがあって、丁子(ちょうじ)のような花をつける木という意味でつけられました。

ソメイヨシノ

バラ科の落葉高木で、エドヒガン系のサクラとオオシマザクラの雑種の交配で生まれた園芸品種です。江戸末期から明治初期に、江戸の染井村に集落を作っていた造園師や植木職人たちによって育成された、現代の観賞用の桜の代表種です。

フサザクラ

「サクラ」という名前が付きますが、ヤマザクラ等、バラ科のサクラ類とは異なる種類の、フサザクラ科の落葉高木です。雑木林に自生し、ひも状の花弁が特徴です。

ヤマザクラ

バラ科の落葉高木で、日本の野生の桜の代表的な種で、和歌にも数多く詠まれています。桜の仲間の中でも寿命が長く、まれに樹高30mを超える大木になります。春に葉芽と花が同時に開くので、これがソメイヨシノと見分ける大きな特徴となっています。

ヤブザクラ

多摩丘陵西部など限られた地域にだけ見られる桜で、園内では鮎道沿いや尾根緑道沿いなどに見られます。ソメイヨシノより少し早く咲き、花の後に葉が出ます。

ヤマツツジ

ツツジ科の花で丘陵~山地にかけて自生します。明るい林の中や崖などに生え、たくさんの花を咲かせたヤマツツジは燃えるように赤く存在感があります。アゲハチョウの仲間が蜜を吸いに飛び交う場面がよく観察できます。

オレンジ・黄色の花

キブシ

キブシ科の落葉低木で、雑木林の下に生える雌雄異株(しゆういしゅ)の落葉小高木です。雄花序も雌花序もよく似た穂になりますが、雄花はおしべ、雌花はめしべしか機能しません。

クロモジ

雑木林に自生するクスノキ科の落葉低木で、3月末~4月中旬ころに薄緑色~黄緑色の小さな花が集まった花穂を咲かせます。葉や枝は香りがよく、材は楊枝の材料に使われます。

サンシュユ

ミズキ科の落葉小高木で、3月上旬から下旬にかけて黄色い花が咲きます。江戸時代に中国産の種子が日本に持ち込まれ、晩秋に付ける深紅色の実の果肉を乾燥させて、止血、解熱作用がある生薬として利用するために栽培されるようになりました。

スイカズラ

スイカズラ科の常緑つる性低木で、山野の草薮や林縁などに生えていて、ジャスミンのような甘い香りのする白い花を二つずつつけます。この花の色は白から黄色に変化していくのでキンギンカ「金銀花」の別名があります。

ナニワズ

ジンチョウゲ科の落葉小低木で、3月に鮮やかな黄色の花を咲かせます。雌雄異株で、秋に赤橙色の実をつけます。

ヒサカキ

雑木林の下に生えるモッコク科の常緑低木で、3月中旬~下旬頃に雄花と雌花が別々の木に咲き(雌雄異株)、どちらの花もクリーム色で、独特の臭みがあります。 枝の下に小さなクリーム色の花をたくさん咲かせ始めています。

青・紫色の花

フジ

マメ科のつる性落葉木本で、低い山や平地の林などに普通に見られますが、花が美しいので藤棚にツルを絡ませて、開花時には隙間から花が垂れ下がるように咲かせて観賞するように仕立てたものが多く見られます。

緑色の花

ギョイコウ

バラ科の落葉高木で、サクラの栽培品種です。花は八重咲で、その花びらは肉厚で外側に反り返ります。花色は白色から淡緑色で、中心部に紅色の条線があります。この紅色は初めは細いのですが、次第に赤いところが増えて行って、花が散る頃にはかなり赤くなります。

ハナイカダ

ハナイカダ科の落葉低木で花が葉の上に咲く様子をいかだに見立ててこの名があります。雌雄異株(しゆういしゅ)でこの写真は雄花ですが、雌花は終わると後で黒く丸い実が葉の上になります。