2025年1月

「第3回東京パークガーデンアワード 砧公園」ガーデナー5名の“第1回庭づくり”をレポート

2024年12月中旬、都立砧公園で行われた第1回作庭。入賞者5名が手掛けるガーデンにはさまざまな工夫が凝らされました。それぞれのガーデナーが選定した植物や、独自の“土壌づくり”などを詳しくご紹介します。

第3回コンテスト会場について

サクラやケヤキなど落葉樹に囲まれた‘みんなのひろば’前に設けられたコンテストガーデン。あらかじめ「高さ40cmの木枠のレイズドベッドに客土された状態」の2対1組の花壇が5つ用意されました。ガーデナーは自身が表現したい植栽が健全に育つように、ガーデン制作時に土壌改良・施肥などをすることが可能です。

ガーデナーが踏まえておく作庭条件

■コンテストのテーマは「みんなのガーデン」とし、多年生植物をメインとしたガーデンを制作すること。
■国内市場で流通している植物のみ使用可能(採取した植物は不可)。
■公園内で爆発的に繁殖するおそれがある植物は使用不可。
■主たる植物は多年生植物を使用すること。容易に制御が可能な草本類に近い木本類は使用可能(全ての植物は高さ2m以内に限る)。
■構造物やガーデンオーナメント等の設置は不可。植物のみで構成すること。
■発生材処理のためのバイオネストの設置は可能。来園者の安全を考慮した仕様とすること。

エリアごとの様子

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JOURNAL GARDEN A

作品タイトル

Gathering of Bouquet 〜庭の花束〜

【使用資材】

土壌改良材: 混合土穣(多孔質人工軽量土壌(エコロベース):バーク堆肥=7:3)
マルチング:樹皮発酵堆肥(くつきバーク)
その他:複合微生物資材(カルスNC)、トウガラシを粉砕したもの

【土壌を整える】

モグラ除けのために、トウガラシを砕いたものを花壇全体にまく。保水・排水が良い混合土穣(多孔質人工軽量土壌(エコロベース):バーク堆肥=7:3)を均等に撒き、耕運機でよく混ぜながら耕す。デザインに基づいて溝や起伏を作り、溝に管理動線用途としてのステップ用丸太を埋め込む。

【植え付け】

剪定した雑木の80㎝ほどの太い枝数本を土に挿し込む。その後、柔らかくしなるカツラの細い枝などで編むように丸く囲んで、直径1mほどのバイオネストをつくる。バイオネストには発酵を促進させるための複合微生物資材(カルスNC)を混入する。水糸を張ってグリッドをつくり、デザインに基づいてゾーンを分けるラインをチョークの粉で引く。宿根草を植え付けた後、その間に球根を植えつける。

【マルチング&その他仕上げ】

表土を樹皮発酵堆肥(くつきバーク)でマルチングする。丸太を埋めた溝の側面に沿って細い枝を埋め込み、見映えを兼ねた土留めを設ける。黒いアルミ製のネームプレートに白色で植物名を書き込んだ札を設置。

【第1回作庭を終えて】

宿根草の苗や球根の在庫状況が直前まで変動する中、施工直前まであれこれと植栽計画を練り直しました。施工を俯瞰できるようになったのは、自宅での球根混ぜ込み作業がひと段落した翌日から。年末の忙しい時期に、ガーデンに集ってくれた作庭メンバーに心から感謝します。

JOURNAL GARDEN B

作品タイトル

Circle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜

【使用資材】

土壌改良材:多孔質人口土壌(ビバソイル)、腐葉土、もみ殻くん炭、牛糞堆肥(お馬の堆肥)など
排水確保材:竹炭、汚泥発酵肥料(タテヤマユーキ1号)、剪定枝葉(ササ、ケヤキ、オリーブ、マサキなど)
マルチング:樹皮完発酵堆肥(くつきバーク)、杉皮マルチバーク(スリーダイヤ2号)

【土壌を整える】

保水性や排水性を持たせるため多孔質人口土壌(ビバソイル)を混ぜ込んだ後、有機質が豊富な腐葉土、もみ殻くん炭、牛糞堆肥(お馬の堆肥)を載せてよく耕す。溝をつくり、竹炭、汚泥発酵肥料(タテヤマユーキ1号)を入れた後、剪定枝葉(ササ、ケヤキ、オリーブ、マサキなど)を横たわるように入れていく。ところどころに通気孔を掘り、底に竹炭を入れる。

【植え付け】

中央に低木やニューサイランなどの大株を植えたあと、宿根草、球根を順に植え込む。

【マルチング&その他仕上げ】

樹皮完発酵堆肥(くつきバーク)と杉皮マルチバーク(スリーダイヤ2号)で表土をマルチングする。さらに、溝部分に落ち葉を軽く化粧的に載せる。

【第1回作庭を終えて】

デザイナーのコンセプトデザインとガーデナーの植栽アイデアを組み上げた砧公園の“にわ”。作庭を終えて、私たちの思いがカタチになった“にわ”は春をじっと待つ冬姿。春のイメージイラストと暖かくなって実際に芽吹いた宿根草といきものたち達の織りなす“みんなのにわ”を見比べる、その日が待ち遠しいです。

JOURNAL GARDEN C

作品タイトル

Ladybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」

【使用資材】

土壌改良材:真砂土、バーク堆肥(炭入りコンパ)、腐葉土、ゼオライト、もみ殻燻炭
排水確保材:竹炭、剪定枝葉(サクラ、ケヤキ、クスなど)
マルチング:樹皮ウッドチップ
元肥:マグアンプ、微生物系肥料(タキアーゼS)
その他:トウガラシ

【土壌を整える】

全体に真砂土を載せた後、溝を掘りながら、ざっくりとした起伏をつける。その後、モグラ除けのために粉砕したトウガラシを撒き、よく混ぜ込む。多孔質のゼオライトや有機質を補いつつ団粒構造を維持するバーク堆肥(炭入りコンパ)や腐葉土、もみ殻燻炭、肥料分のマグアンプと微生物系肥料(タキアーゼS)を加え、よく耕して最終的な地形をつくる。溝には竹炭を入れたあと、ケヤキやサクラ、クスの剪定枝を敷く。溝のところどころに通気孔を開け、砧公園内で発生したマサキの剪定枝を入れ込む。

【植え付け】

低木やキンカンなどの樹木を植栽して骨格を形つくる。宿根草の苗を植えた後、球根を植えつけていく

【マルチング&その他仕上げ】

植栽前に樹皮ウッドチップを溝以外に敷く。植栽後にも同様に植物の周りに撒く。溝に沿って入れた枝をカバーするために、苗を植え付けた際にカットしたグラス類の穂を載せて見映えをよくする。

【第1回作庭を終えて】

今回の作庭は植栽チームの一人一人が迷う事なく正確な位置と個数の苗を図面通りに植えられるように植栽平面図を作り込みました。おおむね思惑どおりに出来たのではと思っています。ガーデンの中央にあるネスト作業通路にも、作庭中にも関わらずてんとう虫が越冬場所を探しに来ていました。砧公園の小さな住人たちに徐々に受け入れてもらっているようで嬉しいです。これからの春に向けガーデン内に小さな住人たちがさらに増えていくのを楽しみにしています。

JOURNAL GARDEN D

作品タイトル

KINUTA ‘One Health’ Garden

【使用資材】

土壌改良材:多孔質資材を複数配合したオリジナルソイル、菌糸および菌床
マルチング:多摩川梨の剪定枝のチップ(地元川崎の植木農家及び果樹農家から発生する農業副産物)
肥料:発酵鶏糞

【土壌を整える】

土中の微生物多様性を高めるために、ガーデン全体に多孔質資材等を複数配合したオリジナルソイルを入れ、発酵鶏糞と共によく耕す。オオヒラタケのブロック状の菌床を崩して表土に軽く混ぜ込む。オオヒラタケは菌糸が広がるのが早いので、土壌病原菌の抑制や根の成長を促す効果が期待できる。

【植え付け】

バイオネストをつくる。直径約50㎝、深さ約40㎝の穴を開け、その内側に沿って焼杉丸太を打ち込み、多孔質資材を底に敷く。その後、丸太の間をシラカシ等の剪定枝で編み込んで囲みをつくる。低木類から植えて骨格を固め、そのまわりに宿根草の苗を植え込んでいく。

【マルチング&その他仕上げ】

宿根草の植栽前に、多摩川梨の剪定枝を利用したウッドチップを撒いて表土をマルチングする。ナシの枝はやや硬めで、程よい粒の大きさを保っているため、見た目がよいだけでなく、水の浸透が良く水はねや風による飛散が少ないことが期待できる。オオヒラタケの菌床でつくったステップを、作業の足場用として設置。数カ月後には朽ちて、土壌改良としても機能する。

【第1回作庭を終えて】

KINUTA “One Health” Gardenの構想から一緒に作り上げてきた4名で作庭を完了でき、構想を具現化できた達成感とこれからの1年へのワクワクが湧いてきました。私たちの考えるOne Healthはガーデンと関わりを増やすことで深化していくので、ワークショップ等を通じ、ガーデンへ実際にふれあいに来てほしいです。

JOURNAL GARDEN E

作品タイトル

「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ

【使用資材】

土壌改良材:軽石、もみ殻燻炭、土の活力素(バイオマイスター)、シマミミズ入り堆肥
マルチング:バイオマイスター(下地)、軽石、鹿沼土(仕上げ)
元肥:発酵米糠肥料、海藻元肥、バットグアノ
その他:EFポリマー、トウガラシ

【土壌を整える】

全体的に軽石を混ぜて耕した後に、もみ殻燻炭、土の活力素(バイオマイスター)を混ぜる。モグラやコガネムシの幼虫を除ける目的で用いる砕いたトウガラシ、有機質を補う有機リン酸肥料(バットグアノ)、ミネラル分を補う海藻元肥を混ぜてよく耕し、溝をつくって起伏を作る。部分的にミミズ入り堆肥を投入(この部分にトウガラシは入れない)。水糸を張り、グリッドをつくる。デザインに基づいて、白線を引いてゾーンを明確にする。

【植え付け】

中央のニューサイランを軸に大株から植栽。ポット苗や球根の下には、保水効果がある生分解ポリマーを敷いて、成長するまでの冬場の根の乾燥を防ぐ。宿根草の間に球根を植え込んでいく。

【マルチング&その他仕上げ】

株のまわりに土の活力素(バイオマイスター)を撒き、夏の蒸れ予防とコガネムシの忌避のために軽石と鹿沼土で仕上げのマルチングをする。植栽作業完了後、カラスなどのいたずら防止のため、花壇の上に細い紐を張り巡らせて完了。

【第1回作庭を終えて】

「みんなで創るみんなのガーデン」にしたくて、SNS募集で集まったアマチュアボランティアチームで作庭に挑んでいます。使用する植物の種類も多く、難しい植栽工事でしたが、チームの結束が素晴らしく、気持ちをひとつにして第1期植栽が完成しました。1年の管理も、植え付けから関わるメンバーが、各自のスケジュールに合わせてコマメに行うことで、「植物には細やかに愛のある手が加わり、メンテをする人間にとっては負担が軽く楽しめる」コミュニティライクな「ローメンテ」を提案します。

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