2024年12月

第3回 東京パークガーデンアワード砧公園

「第3回 東京パークガーデンアワード」の会場となるのは、東京都世田谷区にある都立砧公園。天気のよい休日には、地域の住民や家族連れなど、お弁当を広げる光景があちこちで見られます。園内の「みんなのひろば」前に設けられるコンテスト花壇は、『みんなのガーデン』というテーマのもと制作されます。求められるのは、宿根草をメインとして活用しながら、五感を刺激し、見ていて楽しいと感じる要素を取り入れた「ロングライフ・ローメンテナンス」なガーデンです。

5名の入賞者に与えられるのは、それぞれ約40㎡のスペース。通路を挟んだ一対の花壇です。2024年12月に土壌改良や植え付けなどの作庭が行われ、2025年2月に2回目の作庭が行われます。その後、11月の最終審査まで、ガーデナーにより必要に応じてメンテナンスが行われ、3回の審査を経てグランプリが決定します。

A~Eの5つのエリアのうち、どのエリアを担当するかを決めるため、2024年10月中旬、5名のガーデナーが砧公園に集いました。今年も多数の応募者の中から選出された気鋭の5人。これから1年間、どんなガーデンを制作していくのか。それぞれが思い描くガーデンプランと植栽計画を紹介していきます。

エリアごとの様子

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JOURNAL GARDEN A

作品タイトル

Gathering of Bouquet 〜庭の花束〜

【作品のテーマ・制作意図】

皆さんの日常に癒しや潤いを届けたいという願いを込め、プランツ・ギャザリングの視点で、ガーデンをひとつの大きなブーケに見立ててデザインを構成しました。動物たちが次の訪問者のために心遣いを残していく絵本から着想を得て、あらゆる世代の方が見て触れて、香り等を楽しめるように、花の形や手触りがおもしろいものを用いた植栽計画をしています。ぜひ手に取って、お気に入りの植物を見つけてください。たくさんの感動や気づきが新たな会話を生み、笑顔になるシーンが増えますように。

【植栽計画について】

フラワーデザインの花束を構成する際に考慮する「自然環境の中で成長している植生本来の姿や形を意識しすること」を踏まえ、本計画では草花の形状が持つ役割と全体のバランスに気をつけながら配植計画を作成しました。春のガーデンは、ナチュラルなグリーンとパステルカラーの花を中心にして構成。初夏からぐんぐんと葉の旺盛さが増し、夏のガーデンでは花色が分かりやすい鮮やかな植物を中心に構成しました。晩夏から秋では、庭全体がシードヘッドとグラスが中心になり、ナチュラルの中にどこか秋の上品さを感じられるような植栽計画となっています。
JOURNAL GARDEN B

作品タイトル

Circle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜

【作品のテーマ・制作意図】

季節によってカラーリングが変化する植物や、実をつけて味わい深い風景を作ってくれる植物に集まる多様な生き物たち。そして各所に配置したサークルネストはそんな生き物たちの拠り所に。命の循環というキーワードをもとに植物だけではなく生きとし生けるものたちの集まる「庭」をテーマにデザインしました。人間だけに限らず、あらゆる生き物たち「みんな」にとっても楽しめる「命を感じられるガーデン」は「みんなのにわ」となり、命を循環させてゆきます。

【植栽計画について】

互い違いに築山をつくり、背丈の高い植物を配置することにより奥の植栽を目隠しする効果を出しています。S字型に配置した窪みは水捌けだけではなく空気の通り道として。区切られた築山・フラットな部分それぞれにテーマカラーを設定して、その色の花を植栽。眺める場所によって違う印象の風景を作ります。植えるのは草木や花だけでなく、味覚や嗅覚でも楽しめる実のなるものやハーブなど。風や、季節、味わいや集まる命を感じられる庭。人間だけに限らず、生き物たちにとっても楽しめるようなガーデンを考えています。

JOURNAL GARDEN C

作品タイトル

Ladybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」

【作品のテーマ・制作意図】

砧公園で暮らす「小さな住人(虫たち)」がこのガーデンを訪れて住みやすいように生態系を意識した植栽のデザインをしています。植栽は、見る場所や角度によって印象が変わるように、カマキリなどの天敵が身を潜められるような複雑さが出るよう工夫しました。植物は、てんとう虫やカマキリの食料となるアブラムシなどが好む「バンカープランツ」や蝶やミツバチたちの蜜源となる植物を植えています。「小さな住人(虫たち)」の生活をそっとのぞき見ることができる場所を目指しています。ここでの小さな体験が、自分の身近な自然環境を考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

【植栽計画について】

ガーデンは、敷地に高低差をつけて作業通路と大型のグラスがあるブロック植栽で区切り、4つのマトリックスエリアで構成。1.西日や乾燥に強い植栽エリア、2と3.緩やかなミラーボーダーで蝶々やミツバチの蜜源になる植栽エリア、4.半日陰に強い植栽エリア、とそれぞれ特徴は異なります。見る場所や角度によって印象が変わり、より複雑に見えるような視覚効果があり、春から夏は花数が多くてにぎやかな植栽、秋はグラスをメインとした風情のある植栽となっています。

JOURNAL GARDEN D

作品タイトル

KINUTA “One Health” Garden

【作品のテーマ・制作意図】

ヒトの健康、生きものの健康、環境の保全を包括的な繋がりとして捉えるワンヘルス (One Health)の概念を軸に、それら3つの主体が密接に関わり合う「ワンヘルスガーデン」をつくります。土壌環境を改善し、植物や微生物を豊かに育て、鳥や虫などの地域の生きものを呼び込む。ガーデンの香りや触れ合いを通し、ヒトの健康と安らぎを生み出すガーデンをつくり、いろいろな生きものがやってくる「みんなのガーデン」を実現します。

【植栽計画について】

みんなのワンヘルスガーデンにするために、植栽計画は見るだけでなく触れる、香るなど五感で楽しめるハーブやカラーリーフやクラフトの素材などを用い、植物に触れるための仕掛けを散りばめます。また、四季を通じて彩りのある品種やシードヘッドの美しいものも使用し、管理が容易で楽しみながら持続できるガーデンを作ります。

JOURNAL GARDEN E

作品タイトル

「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ

【作品のテーマ・制作意図】

私は「みんなのガーデン」を、来園者だけでなく、花を訪れる虫、土壌菌類などの分解者、そして庭の先につながるこの生きた星「地球」の環境といった全ての「生あるもの」をつなげる庭と捉えました。温暖化する東京の気候に合った植物を差別なく組み合わせ、虫や菌たちによる循環系の形成、見るだけでなく庭づくりに参加もできる「みんなのガーデン」。「みんな」が共に助け合いながら、末長く幸せに暮らす世界、生命共存の尊さ・美しさを伝えたい。この想いが、この庭から未来へ・社会へ・地球へと広がっていけば、と考えています。

【植栽計画について】

宿根草やカラーリーフの低木類、球根類を中心に、国籍や古今の流行、有名無名を問わず、植物の多様性や季節変化の諸相を楽しめるバラエティ豊かな植物選びで植栽を構成します。また、蜜蜂や蝶などの昆虫が好んで訪れる蜜源植物や香りのよい植物を積極的に使用し、植物の美観だけでなく、生物が共存する世界の美しさや、嗅覚や聴覚(葉ずれや虫の羽音)、味覚(蜜やハーブへの想像)、触覚(植物のテクスチャーからの連想や肌に触れる風が植物の動きを介して理解される)など、五感で楽しめる植栽表現を目指します。

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