水戸黄門ゆかりの名園

小石川後楽園

こいしかわこうらくえん

お知らせ

2021/08/27

【小石川後楽園の稲田行事~その4】

小石川後楽園は大泉水を中心に「海」「川」「山」「田園」の4つの領域に分かれています。稲田を中心とした「田園の景」では、夏から秋へと季節の移り変わりの時期を迎えました。
稲穂の上をトンボが飛び交う長閑な風景が広がり、初秋の里山の風情を醸し出しています。


今回は、小石川後楽園の田んぼに関わる年間の作業の中で、「出穂と開花」と鳥除けの「網張り」について紹介していきます。

■■出穂(しゅっすい)・開花■■

昨年(令和2年)は、4月28日に田植え、8月12日に開花、一昨年(令和元年)は5月9日田植え、8月9日に開花を迎えました。

さて今年はというと、厳しい暑さから一転、台風に見舞われ、風雨が一旦収まった8月11日に出穂と開花を確認しました。


イネの花は「自家受粉」です。晴れた日の午前中に、後に籾殻(もみがら)になる2枚の頴(えい)が開き、白いおしべが飛び出すと先端から花粉が飛び散って、頴の中にあるめしべに着き、1時間ほどで頴は再び閉じてしまいます。

この大事な時期に肌寒いような雨天が続きました。静かに時を待ちながら、小さな白い花が穂の先の方から咲いていきました。
30坪ほどの田んぼですが、穂が出揃うまで2週間以上を要しました。


当園では、「喜寿糯(きじゅもち)」という品種のもち米を植えていますが、穂先の芒(ノギ)と呼ばれる赤いヒゲで、お米(うるち米)との違いが確認できます。


■■網張り■■

イネの穂が出るのを待ち構えていたように、スズメが集まってきます。
もち米が固くなる前、デンプンが蓄積される途中の柔らかな時期から早速やってくるので、その前に急いで田んぼに鳥除けの網を張ります。


今年は、長雨などの影響で作業行程と開花時期が重なったため、田んぼに入る時は、できるだけ穂に触れないよう、ぬかるみに足を取られ、ふらつかないよう注意深く作業を進めました。


まず、外周と田んぼ中にも数カ所、竹の支柱を打ち込み、わら縄で支柱同士を繋ぎ、その上を防鳥網を這わせながら広げていきます。

隙間があると上から鳥が、下からザリガニやハクビシンなどの侵入者が、やってきます。
また、ぴんと張りすぎると、網が宿り木のような足場の役割をしてしまい、鳥が寄りつきやすくなってしまいます。


「稲田」は「特別名勝」でもある当園の見所のひとつです。景観に配慮しながら、田んぼの大きさに合わせ、既製品の網を縦横高さをちょうど良く張るのは、思いのほか大変です。支柱の高さを微調整したり、中央で2枚の網を縫うように繋ぎ合わせたりと、新人職員はベテラン職員の指導を受けながら、試行錯誤しながらコツを覚えていきます。

田んぼに稲穂が姿を現したら、実りの秋はもうすぐ!
次回は、小石川後楽園秋の風物詩「案山子作り」についてお伝えする予定です。

小石川後楽園210822防鳥ネット、網張り (2)_01 縄で支柱をつなぎます
小石川後楽園210822防鳥ネット、網張り (29)_02 掛け声に合わせ、網を広げます
小石川後楽園210827 (2)_03 田んぼの上を飛びかうトンボ
小石川後楽園210822イネの花 (3)_04 頴が開いて、おしべが飛び出しました! 「喜寿糯」の赤い芒(のぎ)が見えます。
小石川後楽園210823防鳥ネット(稲田) (4)_05