三つの中島を配した広い池。水面に島や数寄屋造りの建物、樹々の影を映し出すこの池は、庭園の要です。昔は隅田川から水を引いていました。そのため潮の干満によって池の景観が微妙に変化したといわれます。現在は雨水でまかなっています。
池の端に石を飛び飛びに置いて、そこを歩けるようにしたもの。広々とした池の眺めが楽しめるだけでなく、歩を進める度に景観が変化するように配慮されています。
伊豆磯石、伊予青石、紀州青石、生駒石、伊豆式根島石、佐渡赤玉石、備中御影石、讃岐御影石。これらは庭園に置かれた多くの庭石のうち代表的なもの。この ほか敷石や橋、前述の磯渡りの石を含め、園内には無数の石が配置され、さながら「石庭」の観を呈しています。これらの石は、岩崎家が自社の汽船を用いて全 国の石の産地から集めたものです。
この庭園で最も高く大きな築山。関東大震災以前はこの築山の山頂近くには樹木を植えず、サツキ・ツツジの灌木類を数列横に配して、富士山にたなびく雲を表現したものだと言われています。
大正天皇の葬儀に用いられた葬場殿を移築したもの。しかし、最初の建物は戦災で焼失したため、昭和28年に貞明皇后の葬場殿の材料を使って再建、平成元年4月に全面的に改築されました。集会場として利用できます。
「古池や かはづ飛び込む 水の音」。松尾芭蕉の最も有名なこの句を刻んだ石碑が、園内に立てられています。
池に突き出るようにして建てられた数寄屋造りの建物。これが、この庭園を日本情緒豊かなものにしています。涼亭は明治42年国賓として来日した英国のキッ チナー元帥を迎えるために岩崎家が建てたもの。震災と戦火の被害からまぬがれ今日に至りましたが、昭和60年度に全面改築工事を行いました。集会場として 利用できます。平成17年には「東京都選定歴史的建造物」に選定されました。
川と海に近いこともあって種々の野鳥がくることでも知られています。
年中いるのはカルガモ、キジバト、ヒヨドリ、オナガ、ムクドリ、シジュウカラ、アオサギ、カワウなど。夏にみられるのは、コアジサシ、ツバメ。冬は、キンクロハジロ、ホシハジロ、オナガガモ、ハクセキレイ、モズ、メジロなどがきます。