都立武蔵野中央公園

誉エンジン コンロッド展示企画

ここに、東洋一の工場があった

── 武蔵野中央公園で見つかった、誉エンジンのかけら ──

武蔵野中央公園サービスセンターにて実物を展示中です

発見された誉エンジン(ハ45)のコンロッド(大端部)

Introduction

公園の土の中から、歴史が現れた

いま、みなさんが散歩やスポーツを楽しんでいる武蔵野中央公園。この場所には約80年前、「東洋一」と謳われた航空エンジン工場──中島飛行機 武蔵製作所がありました。零戦などに搭載された「栄」、そして大戦末期の戦闘機を支えた「誉(ほまれ)」。日本の航空技術の粋を集めたエンジンが、ここで数多く生み出されていたのです。

工場は太平洋戦争中にくり返し空襲を受け、戦後は米軍住宅を経て、現在の公園へと姿を変えました。地表からは、工場の面影はほとんど失われています。

そんな公園の一角から、一本の金属部品が見つかりました。調査の結果、それは誉エンジンの「コンロッド(接合棒)」と考えられるものでした。長い年月を土の中で過ごし、腐食が進んだその姿は、一見すると「ガラクタ」かもしれません。けれどこの部品は、この土地が歩んできた時代を静かに語る「歴史の証人」です。

発見された誉エンジン(ハ45)のコンロッド
発見された誉エンジン(ハ45)のコンロッド(全長 約40cm)

実物は劣化が進んでいるため、手に取ってご覧いただくことはできません。そこで、このページでは高精細な3Dスキャンデータを公開しています。画面の上で自由に回して、拡大して、展示ケースの中では見えない細部までじっくりご覧ください。来園前の予習にも、来園後の振り返りにも、どうぞご活用ください。

About the Connecting Rod

コンロッドとは何か ── 誉エンジンの心臓部

コンロッド(コネクティングロッド/当時の呼び名では「接合棒」)は、シリンダー内を往復するピストンと、回転するクランクシャフトをつなぐ棒状の部品です。ピストンの上下運動を回転運動に変える、レシプロエンジンの要(かなめ)にあたります。爆発の力を受け止め続けるため、強く、しかも軽くなければならない──エンジン部品の中でも特に高い工作精度が求められる部品です。

誉エンジンは、シリンダーを放射状に並べた「星型エンジン」です。9本のシリンダーを星のように配した列を前後に2列重ねた、複列18気筒構成で、直径約1.2mという小さな外径から2,000馬力級の出力を引き出すことを目指した意欲作でした。

星型エンジンのコンロッドには、他のエンジンにはない大きな特徴があります。1列9本のシリンダーのうち、クランクシャフトに直接つながるのは「主コンロッド」1本だけ。残り8本の「副コンロッド」は、すべて主コンロッドの周囲に連結されるのです。中心から放射状に腕を伸ばすこの構造こそ、星型エンジンの機構の核心です。

また、4サイクル(吸気→圧縮→爆発→排気)で動く星型エンジンは、シリンダーを1つ飛ばしの順序で爆発させます。9気筒の場合の爆発順序は次のとおり──

「4サイクルエンジンは、クランクシャフト2回転につき各シリンダーが1回だけ爆発する」という原則を守るための工夫で、星型エンジンの1列あたりの気筒数が必ず奇数になるのはこのためです。

図3-1 9気筒星型エンジンの気筒配置(①〜⑨)
図3-1 9気筒星型エンジンの気筒配置(①〜⑨)
図3-2 ピストンとコンロッドを組み込んだ状態
図3-2 ピストンとコンロッドを組み込んだ状態

図3-1・図3-2:参考資料「星型エンジンの構造」より

展示品誉エンジン(ハ45)のコンロッドと考えられる金属部品
誉エンジンとは中島飛行機が開発した空冷複列星型18気筒エンジン。「疾風」「紫電改」「彩雲」など大戦末期の主要機に搭載された
発見場所武蔵野中央公園内(中島飛行機 武蔵製作所 跡地)
状態長期間の埋没による腐食・脆弱化のため、直接触れることはできません
展示場所武蔵野中央公園サービスセンター 入口付近(展示パネル・パンフレットもあわせてご覧いただけます)

※ 歴史記述については現在、関係機関への確認を進めています。内容は今後更新される場合があります。

3D Viewer

3Dビューアで、あらゆる角度から

アプリ不要 登録・ログイン不要 スマホ・タブレット・PC対応

横置きビュー

発見時の姿に近い、横たわった状態でご覧いただけます。

縦配置ビュー

立てた状態。全体のプロポーションがよくわかります。

操作方法

  1. ビューア中央の再生ボタンを押すと3Dモデルが読み込まれます
  2. 指(またはマウス)でドラッグすると回転、2本指(ホイール)で拡大・縮小できます
  3. 右下のボタンで全画面表示にすると、細部までじっくり観察できます

※ 3Dモデルの表示にはSketchfab(スケッチファブ)社のサービスを利用しています。通信環境により読み込みに時間がかかる場合があります。

画面の中で出会ったら、
つぎは公園で、実物に会いに。

武蔵野中央公園 サービスセンター 入口付近にて展示中
実物展示・解説パネル・パンフレット配布

誉エンジン「コンロッド」展示企画
都立武蔵野中央公園(公益財団法人 東京都公園協会)