公益財団法人 東京都公園協会
公益財団法人 東京都公園協会
板見 浩史
中田 達男
審査をさせていただき、まず気づいたのが物語性に富んだ作品の多いことです。物語は、時には自然の美しさの中から、時には人とのふれあいの中から生まれます。撮影場所も、園内の有名スポットに限らず、隅々までくまなく歩き、いたる所で発見したドラマを素直に表現した作品が際立ちました。都内の公園・庭園の数、実に80以上。まだまだ知らない世界も見つかるでしょう。今後もそんな作品を期待します。
板見 浩史
誰の心にも仕舞い込まれている思い出の〝宝箱〟を、そっと開けて見せてくれたような珠玉の作品です。シャッターチャンスがいい、距離感がいい。そして手前に広げられたお弁当の入った荷物や水筒などの散らばり方も、この後の〝楽しい時間〟を見る人に想像させてくれます。主役の子供たちや先生だけでなく背景のコスモスや木立などにも深い味わいがあります。ややコントラストの低いところなども〝追憶〟をイメージさせて効果的です。
中田 達男
秋の陽に彩られたのどかな光景を見事にとらえました。右側の樹の幹と、上部を横たわる枝が前景になり画面を引き締め、オレンジに染まった葉が逆光で輝きこの作品を支えています。中景にススキ、遠景に木立と、奥行き感も感じられます。記念撮影に興じる人物が明るいススキを背景にその姿がしっかりと描写され、先生の姿やガッツポーズをする生徒など、楽しそうな声が聞こえてきそうな心温まる作品です。光の扱いが抜群です。
板見 浩史
実におだやかで心のびやかな時間を感じさせる写真です。その最大の〝功労者〟は左の柳の新緑とやわらかな枝の流れでしょう。まったく良い瞬間をうまく切り取ったものです。遠景の桜並木も見事で色彩的にも効果を発揮していますが、ベンチの人物と重ねることによってより印象強く表現されています。桜には我関せずとばかりに魚を狙うシラサギの姿もユーモラスで活きています。コローの名画を思わせる優れた作品だと感心しました。
中田 達男
長い冬も終わり桜は満開、新緑も見え始めた春風景を爽やかにまとめました。両側に配した樹とベンチ、さらに水たまりに映った樹のシンメトリーが美しくすっきりした雰囲気です。また、シラサギの存在が点景として作品に変化を与え、水をついばむ様子ものどかさを感じさせてくれます。水面の揺らぎ、葉のなびく様子から風も感じられ、ベストなシャッターチャンスだったと思います。こんな所で癒されたい気分にさせられます。
板見 浩史
眺めているうちに心も華やいでくる写真です。女子大生たちの卒業そして将来という明るい未来を、見る者に想像させる作者のコンセプトと撮影テクニックに拍手を送ります。いまを盛りと咲き誇る桜の美しさで人生の門出に寄せる作者のメッセージを暗示し、未来に向かう若い女性たちの〝意思〟を表現しているところがポイントです。あえて顔を見せないことで女性の普遍性を強調したところに作者の深い作画意図が伺えます。
中田 達男
色とりどりの和服の女性を記念写真風に撮らず、後姿を見せているところに大きなポイントがあります。見ている先は1本の桜の樹。正に今が年齢的にも一番楽しく充実している女性が、満開の桜に自分を重ねているようです。ソフトフィルターによる幻想的な見せ方、人物の切り方、背景を桜だけのシンプルにまとめたこと、すべて大成功です。女性たちが何を思っているかは、これを見ている方に想像させる余韻のある作品です。
撮影場所:六義園
受賞者名:辰巳 功
作品タイトル:午後の縁側で
撮影場所:浜離宮恩賜庭園
受賞者名:岡本 洋三
作品タイトル:キバナコスモス畑の仲良し
撮影場所:殿ヶ谷戸庭園
受賞者名:小池 基夫
作品タイトル:紅葉と竹林
撮影場所:小石川後楽園
受賞者名:平山 和利
作品タイトル:「桜色の笑顔」
撮影場所:清澄庭園
受賞者名:原 道春
作品タイトル:夕暮れの庭園
撮影場所:向島百花園
受賞者名:中野 芳之
作品タイトル:小春日和
撮影場所:旧芝離宮恩賜庭園
受賞者名:川窪 葉子
作品タイトル:江戸と令和
撮影場所:旧古河庭園
受賞者名:首藤 義憲
作品タイトル:水鏡
撮影場所:旧岩崎邸庭園
受賞者名:上田 陽介
作品タイトル:隠れ家
撮影場所:陵南公園
受賞者名:星野 郁男
作品タイトル:春の散歩道
撮影場所:日比谷公園
受賞者名:杉谷 哲也
作品タイトル:舞踏会
撮影場所:葛西臨海公園
受賞者名:庵原 邦寛
作品タイトル:群舞
撮影場所:武蔵野の森公園
受賞者名:伊藤 務
作品タイトル:黄昏
撮影場所:水元公園
受賞者名:羽生 安莉奈
作品タイトル:はじまり。
撮影場所:代々木公園
受賞者名:堀 大輝
作品タイトル:自然と寄り添う
撮影場所:代々木公園
受賞者名:相馬 達也
作品タイトル:シャボン玉ホリデー
撮影場所:代々木公園
受賞者名:幅 周一
作品タイトル:落葉と戯れる
撮影場所:青山公園
受賞者名:都 清子
作品タイトル:紅葉下に集う
撮影場所:神代植物公園
受賞者名:植田 堅朗
作品タイトル:晩秋のひと時
撮影場所:六義園
受賞者名:佐藤 英二
作品タイトル:秋来ぬと 紅葉色づく かもの群れ
撮影場所:六義園
受賞者名:廣田 邦彦
作品タイトル:しとやかに
撮影場所:殿ヶ谷戸庭園
受賞者名:中西 隆
作品タイトル:憩いの時
撮影場所:清澄庭園
受賞者名:古田部 志緒
作品タイトル:私がガイド
撮影場所:小石川後楽園
受賞者名:鶴田 喜孝
作品タイトル:水面(みなも)に映るあなたと私
撮影場所:小石川後楽園
受賞者名:相澤 希哉
作品タイトル:紅葉の盛り
撮影場所:小金井公園
受賞者名:小林 美乃里
作品タイトル:万華鏡
撮影場所:旧古河庭園
受賞者名:沈 泰然
作品タイトル:冬日の洋館
撮影場所:旧岩崎邸庭園
受賞者名:岡 美穂
作品タイトル:溢れた光
撮影場所:旧岩崎邸庭園
受賞者名:関 俊也
作品タイトル:120年の時を超え
撮影場所:代々木公園
受賞者名:菊地 和夫
作品タイトル:初冬の水鏡
撮影場所:代々木公園
受賞者名:羽田 正幸
作品タイトル:秋の噴水地
撮影場所:神代植物公園
受賞者名:淡島 千恵子
作品タイトル:錦秋
撮影場所:神代植物公園
受賞者名:伊藤 幹雄
作品タイトル:午後のひととき
撮影場所:浜離宮恩賜庭園
受賞者名:道信 タケオ
作品タイトル:天空の橋
撮影場所:殿ヶ谷戸庭園
受賞者名:能登 正俊
作品タイトル:初冬のただずまい
撮影場所:清澄庭園
受賞者名:久富 智俊
作品タイトル:小雨にけむる
撮影場所:上野恩賜公園
受賞者名:秋元 孝光
作品タイトル:蓮華の園
撮影場所:石神井公園
受賞者名:永井 弘幸
作品タイトル:自然界の目覚め
撮影場所:野山北・六道山公園
受賞者名:西野 健治
作品タイトル:階段
※作品応募要項に基づき、応募作品については入賞を問わず、都立公園等で行われる展示のために使用する場合がございます。
同じ公園を撮影テーマにしてはいても、写真は一期一会であり、すべての撮影者に素晴らしい作品を得る機会が平等に与えられている、と毎年驚きます。特に今年は、見慣れた有名な公園で〝よくこんな光景に出会えたものだ〟と感心する作品に数多く出会うことができました。例年の上位作品を後追いするのではなく、自分のアンテナでしか受信できない自分だけの光景と出会う、という強い確信と努力がもたらした〝ご褒美〟なのでしょう。