お知らせ

2021年6月17日

小石川後楽園の稲田行事~その2

小石川後楽園は海、川、山、田園をイメージした4つの領域に分かれています。ここで紹介する「稲田」は、「松原」や「八つ橋」などと並んで、江戸時代から受け継がれる「田園の景」の名所のひとつです。

この後楽園の絶勝たる所以を子孫に知らせたいと、水戸徳川家五代藩主宗翰(むねもと)公の治世、創設からこの時代までの変遷をまとめた『後楽記事』に、水田は「民の辛苦を季君大夫人しろしめされむ為めとて」と記しています。


当園の稲田行事は、二代藩主光圀公が、世継ぎである綱條の公家出身の夫人(今出川公規の娘季姫)に農耕の尊さと農民の苦労を教えるために行った米作りに由来し、光圀公の教えに沿って、今も手植えを継承しています。



小石川後楽園の田んぼに関わる年間の作業の中で、前回の「代掻き」に続いて今回は「田植え」と「水の管理」を紹介していきます。



■■田植え■■

昭和50年から校外学習の一環として、文京区内の小学校5年生の児童が、サービスセンター職員や作業ボランティアのレクチャーの下、田植えを体験しています。

残念ながら昨年に続き今年も、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための休園により、当園職員のみで作業を行いました。



今年の田植えの様子は・・・

田植え当日の5月13日の朝は、今にも雨が降り出しそうな曇り空。

広さ約100㎡の田んぼに、購入した餅米の苗を植えていきます。

まず両端にいる職員が「田植え綱」をピンと張ります。この綱は植え付ける位置に目印が付いていて、これをガイドとして一列に植えていきます。

前かがみで後ずさりしながら、自分の足跡でへこんだ所を平にならしてから、数本ずつ植え付けます。

苗の根が入るくらいの深さまで泥に沈めますが、浅すぎると倒れてしまい、深すぎると生育が進まず、収穫量が低下してしまいます。指先の感覚がつかめてくると、平均的な深さで植えられるようになってきます。

例年のような、児童が泥んこの中に足を入れた瞬間の、キャーっと賑やかな声は聞こえてきませんが、慣れない職員が、バランスを崩して、植えたイネの上に手をつきそうになったり、尻餅をつきそうになったりと、静かな園内にほんの一時、活気が戻ってきました。

午前中の作業が終了するのを待っていたかのように、午後から雨が降り出しました。



■■水の管理①■■

田植え後の水の管理は、イネの生育を支える重要な仕事です。

田植えから1週間は、気象状況を見ながら、イネを傷めないよう、水没しない程度に水の深さを調整します。

根が張るまでは、水が深すぎるとイネが浮いてしまい、浅すぎて地面が出てしまうと、カメやカモが動きまわり、イネをなぎ倒してしまいます。

2週目くらいから、土が見えなくなる程度の浅水にします。

土の温度を適度に上昇させると根付きが進み、「分げつ」または「分けつ」と呼ばれる、根元付近から新しい側枝が発生するのを促します。

田植えから1ヶ月、イネは元気に育っています。

植えたばかりの頃は、大雨が降ったら流されてしまうのではないかと、心配するほど細く小さいイネも、35㎝~40㎝ほどに成長しました。



次回は、その後の「水の管理」と、「除草」についてお伝えする予定です。

小石川後楽園210513田植え (30).JPG 足跡を平らにならしてから、田植え綱に沿って植えていきます
小石川後楽園190509田植え (44).JPG 柳町小学校の5年生が田植え体験中(平成31年5月)
小石川後楽園210516田植え3日後(稲田) (1).jpg 田植え3日後の稲田
小石川後楽園210609 (14).JPG 田植えから1ヶ月、今年もイネが元気に育っています!
小石川後楽園210612 (19).JPG 初夏の稲田の風景(6月12日の様子)

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